MASTER PIECE
vol1. TT2 Wallet

メゾンタクヤの代名詞

MAISON TAKUYA アイテムのより深い魅力を探るコンテンツ「MASTER PIECE」。記念すべき第1回目は、定番アイテムとして根強い人気を誇る「TT2 Wallet」をご紹介します。スマートでシンプルなデザインと、紙幣、カード、コインが豊富に収納できる容量を備えた、機能美が魅力の一点。
その裏側には、無数のデザイン革新と、細部にまで行き届いた手仕事が存在します。普段は見ることができない、こだわりの詰まった製造工程をご紹介いたします。

「TT2 Wallet」ができるまで

製品は34個以上のパーツから成り立ち、使用する革は計0.801平方メートル、手縫いの麻糸は計11.3メートルにもおよびます。一点完成させるのに8時間25分をかけて、このシンプルさが際立つ傑作品を世に送り出しています。

素材のチェック〜手裁断

LEATHER SELECTION

TT2ウォレットの製作は、吟味した素材の点検から始まります。外装と内装、それぞれの革を、細部まで丁寧にチェックしていきます。

MARKING

TT2ウォレットに限らず、すべての製品は先に試作品を完成させ、型紙(パターン)を起こします。一枚一枚の革の表情を見ながら、この型紙を配置してマーキングをします。一見地味な作業ですが、出来上がった製品の表情を左右する大切な工程です。

CUTTING

マーキングに沿って慎重に手で裁断し、一つずつパーツを切り出していきます。手裁断には、密さと力強さの絶妙なバランス感覚を必要とします。

一枚ずつの革すき・厚みチェック

SKIVING

切り出した革一枚ずつを革漉き機に通して、銀面(革の表面)から余分な床面(革の裏側)を取り除きます。メゾンタクヤでは革以外の芯材を使わないため、パーツごとに厳密に決められた通りに革の厚みを調整します。

SKIVING

一枚の小さなパーツであっても、その厚みは均一ではありません。例えば、パーツが縫い重なり合うコバの部分はさらに薄く漉く必要があるため、部分的にも革漉きを行います。

MEASURE OF THICKNESS

漉いた革が既定の厚みであるかを、1ミクロンの単位で、計測器を使い一枚ずつ細かくチェックします。

刻印〜糊つけ・菱目打ち

HOT STAMPING

メゾンタクヤの製品には、1か所だけ、あまり目立たない場所に控えめにロゴマークが刻まれています。TT2 ウォレットの場合はカードポケットの最下段に刻印をします。

GLUING

グルー(糊)で各パーツを丁寧に貼り合せて、徐々に組立てていく工程です。糊付けの工程は、最終的に製品の耐用性をより確かなものにするための重要な作業です。

HOLE PUNCHING

糊付けを経て、少しずつ組み立てながら、手縫いの下工程にあたる、菱目打ちをします。これは針と糸の通し穴を開ける作業。パターンに忠実に、かつ正確に、等間隔で開けていきます。一針の違いも許されぬ、繊細かつ冷静な作業が要求されます。

手縫い〜組み立て

STITCHING

菱目打ちの穴に針と糸を通して縫い上げていきます。手縫いとは一本の強撚の麻糸に対して二本の針を通し縫い上げるもので、上糸・下糸の二本で縫うミシン縫製と大きく異なる点です。手縫いは美しさや耐久性のみならず、万一の糸切れでもほつれが広がりにくく修理して長く使い続けることができるという利点もあります。

EDGE POLISHING

切り目本磨きと呼ばれるコバ仕上げ。塗料を使ってコバを覆うのではなく、何度もインクと蜜蝋を染み込ませ、紙やすりの目の粗さを徐々に上げて、手で研磨する作業を繰り返します。コバ処理はパーツの段階から、縫い上げた後まで、製作の間に何度も行われます。

ASSEMBLING

こちらはTT2 ウォレットの小銭入れのパーツです。 実は、ファスナーテープを手で縫い付けていくことは至難で、手縫いを行っているブランドでも、この部分のみミシンに頼らざるを得ないと言われるほどです。しかしメゾンタクヤでは、何度もの試行錯誤を繰り返し、このファスナー部分の縫いをフルハンドで安定して完成させる技術を確立しました。

検品〜梱包

QUALITY CONTROL

こうして完成した製品は、QC(クオリティ・コントロール)と呼ばれるセクションに届けられ、一点一点、隅々まで検品されます。中には、厳しいQCをパスできずに、製造工程に戻される製品もあります。品質を守るための要の作業です。

PACKAGING

品を通った製品は、メゾンタクヤのオレンジ色の革タグを縫い付けた黒い麻袋に丁寧に入れられます。そして、同じく、革タグの付いた上質な手製のギフトボックスに入れて、世界中の取扱い店舗に出荷されていきます。